C型肝炎ウイルス抗体陽性について
ウイルス性の疾患でウイルスが体に入っても、そのウイルスを排除できない
で体内に持ち続けたままの状態の人を「キャリア」といいます。しかし、ウイ
ルスを持続的に持っていても、全員肝炎を発病するのではありません。この
ようなキャリアであるが発病しない人を「無症候性キャリア」と呼んでいます。
健康診断や病院の検査の際にC型肝炎ウイルス抗体(第二世代HCV抗体
検査・第三世代HCV抗体検査)」が陽性だったら、「C型肝炎の疑いがありま
す」と言われると思います(この段階で「C型肝炎です」と診断を下すのは不
正確)。C型肝炎ウイルス抗体の検査結果が陽性で出ても、肝機能(GOTや
GPT)が正常な人がいて、その中にはウイルス自体が体の中にいない人(ほ
とんどが「既感染者」、つまり知らない間に一度C型肝炎ウイルスの侵入を受
けたが、既にウイルスが体の中にいなくなった人)と、C型肝炎ウイルスの無
症候性キャリアの人がおられます。 以上からHCV抗体検査が陽性の人は
次の三つに分けることが出来ると思います(ただし、他の原因による肝障害
(例えばアルコール性肝障害や脂肪肝など)を有する方は除きます)。
(1)C型肝炎ウイルスを持続的に持っていて、肝機能(GOTやGPTなど)も異
常値を示す人。つまり症候があるキャリア。
(2)無症候性のキャリアの人。C型肝炎ウイルスを持続的に持っているが、肝
機能(GOTやGPT)は持続的に正常。
(3)C型肝炎ウイルスが体の中に既にいない人(ほとんどが既感染者)。
HCV抗体検査が陽性の場合は、HCV-RNA (C型肝炎ウイルスの量を調べ
る)の検査を受けて、現在本当にウイルスが体の中に存在するのかどうか調
べます。上記(1)〜(3)の中で、(1)と(2)の方は当然HCV-RNAの上昇がみ
られます。(1)は各種検査とインターフェロンなどの積極的なC型肝炎ウイルス
に対する治療を考慮すべきで、(3)はHCV-RNAは当然陰性であり、経過観察
のみで治療は必要ありません。
それでは(2)の無症候性キャリアの人はどうしたらいいのでしょうか。この方達
はGOTやGPTなどの値は正常ですが、残念ながらその大多数の人が、程度の
差はありますが組織学的には肝炎をきたしている場合が多いといわれていま
す。ですから当然将来肝機能の検査値が上昇する可能性があるわけで、診察
や検査などは(1)の患者さんのように定期的に受けるべきです。肝機能などが
正常域内である間は、インターフェロンなどの投与はとりあえず必要ないように
思います。しかし、GOTやGPTが上昇し始めたら、その時がインターフェロンの
効果が高いと言われていますので、肝機能検査の経過には注意が必要です。
また、「C型急性肝炎になったかもしれない」、あるいは、「C型肝炎の血液が
付着した注射針をあやまって刺してしまった」場合ですが、この時にすぐにHCV
抗体検査を行い、結果が陰性にでても、「感染していない」とは言えません。HC
V抗体は感染後に陽性になるまで2〜4週間かかるからです。ですから、感染の
機会があった方は、2〜4週間後にHCV抗体検査と肝機能を検査するべきでしょ
う。なお、感染の機会があった方は、HCV-RNAも測定し、C型肝炎ウイルスの
有無を詳しく調べる方がいいと思われます。 |
|