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ウイルスがあっても肝炎にならない「キャリア」!
乳幼児の頃は、まだ免疫機構が完全に出来上がっていません。そのため、
乳幼児期にB型肝炎ウイルスに感染(出産時母子垂直感染)しても、免疫
反応が起こらないか起こっても不十分で、ウイルスを退治することが出来ま
せん。その結果、B型肝炎ウイルスはそのまま肝細胞の中に住み着き、
生き続けることになります。B型肝炎ウイルスそのものは肝細胞を障害す
ることがないので、多くの場合、肝炎も起こらず自覚症状も現れません。し
かし、肝細胞の中ではウイルスが盛んに増殖しているので、それを示す
HBe抗原が血液中に出てきます。このように自覚症状はないが抗原だけ
が見つかる人たちを「HBe抗原陽性無症候性キャリア」と言います。
血液検査をすると、HBe抗原の他、HBs抗原・HBV−DNA・DNAポリメ
ラーゼが、いずれも高値を示します。このことは、血液中にウイルスがたく
さんあって感染力が非常に強いことを意味しています。免疫反応が起こら
ないこの時期を「第T期」と呼んでいます。
★キャリアはどのような経過をたどるか!
なんら自覚症状のないまま過ごしているうちに、いつの間にか肝炎が始ま
ります。しかし、この段階でもほとんど気づかず、検査を受けなければ知ら
ずに見過ごすことも少なくありません。中には急性肝炎と同じように黄疸な
どの症状が出る場合もあり、キャリアからの肝炎急性発症があり、極まれ
に劇症肝炎のような激しい症状が出るケースもあります。肝炎が起こった
ということは、ウイルスが異物であると体が認識し、免疫部隊が戦争体制
に入り、B型肝炎ウイルスに対する活動を始めたと言うことを意味します。
急性肝炎になった時のように急激にウイルス退治をするわけではなく、
徐々に行いますから、HBe抗原も少しずつ下がっていきます。やがてHBe
抗原が陰性になると、それに代わってHBe抗体が現れて増加します。この
HBe抗原がHBe抗体に移り変わる現象を「セロコンバージョン」と言い、肝
炎の始まりからここまでを「第U期」としています。肝炎が発症するまでの
時間は個人差が大きいものの、10才代〜30才代の間に起こります。肝炎
が始まってからセロコンバージョンに至るまでの期間は2〜3年というのが
普通です。この間、肝炎特有の症状(吐き気・微熱・倦怠感・疲労感・黄疸
など)が続いたり、繰り返し出たりして肝細胞の炎症が長引き(6ヶ月以上)
、なかなかHBe抗原が陰性化しない場合のことを一般に「慢性肝炎」と呼
ばれています。そして、セロコンバージョンに至り、肝炎がおさまった状態
を「第V期」とし、この時期に達したキャリアの人たちを「HBe抗体陽性無
症候性キャリア」と言います。セロコンバージョンが行われると、その後病
状が治まるので、キャリアの人や慢性肝炎患者にとって、HBe抗原が陰
性化してHBe抗体陽性に移り変わるこの「セロコンバージョン」が肝炎治
療の重要な目標となります。ただし、HBe抗原がたとえ陰性化しても、
HBs抗原は陽性のままでいる場合がほとんどです。(B型肝炎ウイルスに
感染しているが、ウイルスは少なく、他人に感染しにくい状態)
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